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ハーパーの残留と終盤の叩き合い。
戦乱のナ・リーグで生き残るのは?
posted2018/08/04 08:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
AFLO
7月31日16時(東部時間)に、大リーグのサマートレードが期限を迎えた。
大物選手をめぐる締切り直前の商談成立は、今年もいくつか見られた。ブライアン・ドウジャーが、ツインズからドジャースへ。クリス・アーチャーが、レイズからパイレーツへ。ジョナサン・スコープが、オリオールズからブルワーズへ。
獲得したのは、いずれもナ・リーグのポストシーズン進出を狙うチームだ。レギュラーシーズンもそろそろ終盤に差しかかって、混戦の激化が予想されるだけに、これは妥当な補強といってよいだろう。とくにドジャースとブルワーズは、内野のレベルを一段上げた。前者は、マニー・マチャド(オリオールズから獲得)とドウジャー。後者は、マイク・ムスタカス(ロイヤルズから獲得)とスコープ。彼らが額面どおりの実力を発揮すれば、プレーオフでの大きな戦力になることはまちがいない。
ナショナルズはハーパーらが残留。
一方、台風の目と思われていたナショナルズは、最終段階で急に動きを止めた。この数日間、私もナショナルズの動向をずっと気にかけていたのだが、GMのマイク・リゾは現有戦力の維持を選んだ。2015年のMVPブライス・ハーパーはもとより、ジオ・ゴンザレス、ダニエル・マーフィ、ケヴィン・エレーラ、ライアン・マドソン(いずれも今季終了後にFA資格獲得)といった有力どころが、そろって残留を決めたのだ。
今季の開幕前、ナショナルズは、地区王者の、いやリーグ覇者の有力候補だった。にもかかわらず、彼らは勝率5割前後の半端な低空飛行からなかなか脱却できない。6月の成績が10勝16敗で、7月も11勝14敗。7月31日現在、ナ・リーグ東地区では首位フィリーズに5.5ゲーム離された3位。熾烈をきわめるワイルドカード争いでも、2位に並ぶ3チーム(ブレーヴス、ロッキーズ、ドジャース)に5ゲーム離された8位。状況はかなりきびしい。
注目が集まったのは、この微妙な順位のためだ。ナショナルズは土俵際で踏ん張り、上昇気流を期待してポストシーズン進出をめざすのか。それとも、今季に見切りをつけて、有力選手を放出する側にまわるのか。