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遠藤航、植田直通もベルギー移籍。
トロイデンは欧州組の登竜門に。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byGetty Images
posted2018/07/28 11:30
ロシアW杯では出番がなかった遠藤航。ベルギーリーグでもうひとレベル大きなプレーヤーとなりたい。
遠藤、関根、冨安が所属するトロイデン。
遠藤はかつて「ブンデスリーガが魅力的ですね」と語り、植田も「将来はプレミアでプレーしたいですね」と話していた。
その足がかりとして、ベルギーは打って付けのリーグと言える。外国人枠、EU外選手枠など国籍による規制がないうえに、地理的にもドイツ、フランス、オランダに囲まれ、イングランドとも近いため、多くのスカウトが視察にやって来る。それゆえ、ヨーロッパの中で若手の登竜門のような位置付けで、アフリカや東欧の若い選手が欧州トップリーグへの移籍を夢見て、しのぎを削っている。
一方、遠藤、関根、冨安の3人が所属するシント=トロイデンも、日本人選手の欧州トップリーグ進出の足がかりとなり得るクラブだ。
クラブの創設は1924年と古く、1997-98シーズンにはベルギーリーグカップを制覇。近年は1部と2部を行ったり来たりしており、2015-16シーズンからは現サガン鳥栖の小野裕二が1シーズン半、昨年7月からは現レノファ山口の霜田正浩監督がコーチングスタッフとして4カ月間、在籍したことがある。
FC東京の元強化部長がCEOに。
そんな“エレベータークラブ”と日本の関係が深まるのは昨年11月のことである。日本企業のDMM.comグループがクラブを買収し、FC東京の前強化部長で、長友佑都、武藤嘉紀、中島翔哉の欧州移籍に携わった立石敬之氏が新CEOに就任したのだ。
「ヨーロッパにおける日本サッカーの拠点となるようなクラブにしたい」
立石CEOはそう語る。日本人選手だけでなく、今後は指導者、スタッフも招き入れる予定で、提携を結んだファジアーノ岡山のスタッフがすでに研修を行っており、同じく提携を結ぶ大分トリニータのスタッフも近く、やって来るという。
例えば、冨安は19歳と将来性豊かなセンターバックだが、日本人のセンターバックは体格で劣り、ヨーロッパで成功した選手は吉田麻也しかいないという実績から、欧州でプレーする機会になかなか恵まれない。
また、ドイツ2部で出場機会を得られなかった関根は、過去のケースなら帰国を余儀なくされていたかもしれない。遠藤にしても現在25歳、海をわたるにはギリギリの年齢だろう。そうした日本人選手たちが欧州で活躍するためのファーストステップの場として、シント=トロイデンは、今後大きな役割を果たしていくに違いない。