酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
58打席連続ノーヒット記録にリーチ。
頑張れ、ロッテ岡田幸文。
posted2018/07/26 11:40
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
酷暑の毎日だが、私は今年も野球観戦に精を出している。野球が見たいのか、スタンドでビールが飲みたいのか、わからなくなる時もあるが、とにかく汗をかきかきスタジアムに通っている。
毎年のことではあるが、千葉ロッテの応援は凄い。今年も石垣島のキャンプに始まり、高知、神宮、京セラドーム、もちろんZOZOマリンでも彼らを見てきた。
何が凄いって、あれほどの大応援団でありながら、彼らの応援歌は「歌詞が聞き取れる」のだ。どれだけ気持ちがひとつになっているのだ、と感心する。
その声援を受けてプレーする選手が渋い。中には、人気モデルの奥さんがいる涌井秀章のようなスターもいるが、多くのロッテナインは地味なたたき上げだ。
地元千葉県出身で千葉のチームにドラ7で入って25年、2000本まであと14本(7月24日現在)の福浦和也、独立リーグ高知から全くの無印で入団して今や首位打者2度、悪球打ちがさえわたる角中勝也、日本ハム戦では「あんなの大谷じゃない!」と言われながらマウンドに上がればしぶとく後続を断つ大谷智久などなど。全国区ではないが、地元では熱狂的な声援を浴びる面々だ。
妻に猛反対されながらのプロ入り。
岡田幸文もその1人だ。名門作新学院から日大に進むも故障で退学。社会人の全足利でプレーし、2008年育成ドラフトでロッテ入り。すでに妻帯者で子供も2人。公務員をしている年上の奥さんに大反対されるも「2年だけ」と期限を切ってのプロ入り。
とはいっても育成選手は半数以上が一軍に上がることなく消えている。岡田の前途も厳しいと思われた。1年目は一軍出場はなく二軍でも33試合の出場にとどまったが、その並外れた俊足が当時の西村徳文監督の目に留まり、翌年6月に一軍昇格。奥さんとの約束を果たす。
2011年には開幕から1番中堅に固定され、千葉の切り込み隊長となる。ファンが目を見張ったのは、その恐ろしく広い守備範囲だった。