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女子マラソンの新星・松田瑞生。
動物的なオーラと底抜けの明るさ。
text by
柳橋閑Kan Yanagibashi
photograph byAi Hirano
posted2018/07/10 08:00
東京五輪への出場権は熾烈を極める。松田瑞生も有力候補の1人としてMGCに臨もうとしている。
「かわいく撮らなくていいですから」
東京五輪とMGCという仕組みによって、停滞していたマラソン界は急速に活性化し、若い世代が次々に名乗りをあげている。現状6人いる女子のMGC出場権獲得者のうち、じつに5人が24歳以下。松田と同世代のランナーたちだ。
「いい年に恵まれたというか、その中で勝てば喜びも違うだろうし、燃えるものがあります。そのためにも勝負できるような身体作りをして、いい形でスタートラインに立ちたいですね。もし東京五輪に出て、そこで輝くことができたら、私、そこで競技をやめてもいいと思ってるんです。それだけ東京に懸けているし、これから2020年までの一日一日を大切にしていきたいと思っています」
そう真剣な目で語る一方、写真撮影の際には、「そんなにかわいく撮らなくていいですからね。私そういうイメージの人じゃないんで。ガッツが溢れて、うるさい人間だと思われてますから」と言って、まわりを笑わせていた。
大阪人ならではの明るさと、強靱な肉体から発する動物的なオーラ。こういう長距離選手も珍しい。彼女なら、少々の挫折や障害物はものともせず、夢の舞台まで突き進んでいける気がする。
(Number950号『松田瑞生「あくまでも自分は自分でやっていきたい」』より)