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長期休場を乗り越え、復活を!
宇良を支える師匠の「気遣い」。
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byKyodo News
posted2018/07/10 11:15
昨年秋場所2日目の貴景勝戦で負傷し、車椅子で運ばれる宇良。また雄姿が見たい。
気になる……長期休場する人気力士の動向。
そこで思い起こされるのが、アクロバティックな相撲で土俵を沸かせていた異能力士の宇良だ。
昨年11月に右膝の靱帯を手術。今年初場所から4場所連続休場し、今場所は三段目三〇枚目まで番付を落とした。全休ゆえ、さらに番付を降下させることになる。
長期休場する人気力士の動向は、誰もが気になるところだ。そんななか、先の5月場所後のこと。弟弟子である美ノ海の新十両昇進会見を、まるで自分のことのように喜ぶ宇良の姿があった。
一回り体が大きくなり、明るい笑顔を携えていた宇良だったが、師匠の木瀬親方(元前頭 肥後ノ海)は、「まだ相撲は取らせてない。すべて本人に任せているし、師匠としては、ただ美味い物を食べさせるだけですよ(笑)」
師弟共に、悲壮感は感じさせなかったものだった。
志摩ノ海は休場明け優勝し、関取に昇進も。
37人もの力士が所属する大所帯の木瀬部屋で、ケガと闘う兄弟子、弟弟子たちの姿を宇良は間近にしている。
たとえば、現在十両の土俵に上がる、兄弟子にあたる志摩ノ海。
彼もまた、幕下四枚目の場所で膝を負傷し、5場所連続全休の経験があるが、休場明けの場所で序ノ口優勝を決めて復活。以来2年で関取に昇進している。
元小結の常幸龍も、同じく連続休場の時を耐えた。今は幕下上位で足踏みするも、虎視眈々と復活を狙っている29歳の苦労人だ。