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若きフランスの勢いが止まらない!
ウルグアイを破り頂点まであと2つ。
text by
原山裕平Yuhei Harayama
photograph byGetty Images
posted2018/07/07 13:20
ブラジルを破る2ゴールをあげたグリエスマン(左)とバラン。フランスに再び黄金時代は訪れるか。
膠着した試合はセットプレーで動く。
ベスト4を懸けた一戦は、お互いが持ち味を示しながらもにらみ合いが続く。ノックアウト方式特有の緊迫感に満ち溢れる展開。そうした膠着状態を打ち破るには、セットプレーがカギとなる。そのチャンスをものにしたのは、フランスだった。
40分、右サイドで得たFKを、グリーズマンがワンフェイクを入れて、中央に蹴り込む。ピンポイントで合わせたのはバランだった。
「グリーズマンにあそこに上げてくれるように言ったら、その通りのボールを蹴ってくれた」
バランが狙い通りだったと振り返る会心の一撃で、フランスが喉から手が出るほど欲しかった先制点を手に入れた。
振り返れば4年前、フランスは同じ準々決勝でドイツに敗れ涙を呑んでいる。決勝点はFKからフンメルスに頭で合わせられたもので、そのフンメルスにマークに付いていたのがバランだった。あれから4年、バランが汚名を返上する一撃を決めたのは出来過ぎのシナリオにも思えたが、この先制点がフランスを楽にしたのは間違いない。
先制した直後に、逆にFKからピンチを招いたが、ロリスがスーパーセーブでこれを阻止。互いに訪れたこのセットプレーの攻防が、最終的に勝敗を分ける大きなターニングポイントとなった。
勝負を決定づけたグリーズマンの無回転ミドル。
フランスには幸運もあった。
61分、グリーズマンの放ったミドルは決して際どいコースを突いたわけではない。しかし不規則な軌道を描く無回転の一撃は、ウルグアイの守護神ムスレラを翻弄した。ウルグアイにとってはあまりにも残酷な失点だった。
ゴメス、ロドリゲスを投入し、反撃に打って出ようとした矢先に出鼻を挫かれてしまったのだ。この時点で勝敗は決したと言っていい。
それでもウルグアイはわずかな可能性にかけて攻勢に打って出る。しかし、余裕が生まれたフランスはまるで動じることはなかった。むしろ、感じられたのはフランスのポテンシャルの高さだ。
80分にトリソに代えてエンゾンジがピッチに立ち、終了間際にはデンベレ、フェキルを送り出す。とりわけエンゾンジはその長身のインパクトもさることながら、圧巻のボール奪取力と懐の深いキープ力を生かし、ウルグアイの勢いを封じる役割を担った。こうした選手がベンチに控える選手層の厚さも、フランスの大きな武器である。