ぶら野球BACK NUMBER
ロシアW杯の喧噪を抜けて……。
ぶらり鎌ケ谷で清宮幸太郎を見る旅。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byYasutaka Nakamizo
posted2018/07/02 10:30
鎌ケ谷スタジアムのバックネット裏のシートにて。ひと足お先に「今年も夏が来た」と感じた瞬間。
ひと足早く「今年も夏が来た」と。
天気は快晴。
というか暑い。
半袖で来て良かった。よく冷えたコーラを買ってバックネット裏の席へ。
目の前のテーブル付き席はシーズンシートのようだ。平日のデーゲームだと言うのに、客入りも上々。みんなタオルを頭に被せ、日よけをしている。後方の席は日傘の人も多い。
ひと足早く、「今年も夏が来た」と思った。
鎌ケ谷卒業生の巨人・吉川光夫vs.ルーキー清宮。
巨人先発は鎌ケ谷卒業生のひとり、吉川光夫だ。2012年パ・リーグMVP左腕も今はトレード先で二軍調整中である。ついでに野上亮磨や大竹寛も二軍にいる。そりゃあこの働き盛りの移籍組が戦力になってくれないと一軍の先発ローテも苦しい。しかも、巨人スタメンの「4番レフト」はアレックス・ゲレーロだ。
もう育成とか言ってる場合でもない即戦力のアラサー選手たち、頼むよみんな東京ドームで活躍してくれよ。
お目当ての清宮幸太郎は「3番レフト」で先発出場。打席に入る際はあの御馴染みのスター・ウォーズのテーマ曲が流れ、前の席の白ワイシャツにネクタイ姿のおじさんが写真を撮ろうとスマホを構える。どう見ても営業外回り中にサボってるとしか思えないが、日本シリーズが平日午後開催だった時代、街の喫茶店はテレビ中継を見るサラリーマンたちで溢れたという。今の清宮にも、それだけの魅力があるのだろう。最近の12球団フラットな球界において、一般ニュースでも取り上げられる突き抜けた選手の存在は貴重だ。
第1打席は吉川光夫が先輩の貫禄を見せつけて空振り三振。外回りサボり中のおじさんも肩を落とす。自分も「やっぱりまだ一軍レベルの左腕には厳しいかもな」なんて思ったら、直後にそれが間違いだったことに気付かされる。
19歳、清宮幸太郎はハンパなかったのである。