ロシアW杯PRESSBACK NUMBER
31歳メッシのW杯がついに終了……。
19歳のフランス代表ムバッペが引導を。
text by
原山裕平Yuhei Harayama
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2018/07/01 13:45
アルゼンチンのホルヘ・サンパオリ監督は試合後「メッシを十分に生かせなかった」と釈明した。
たとえ“戦術メッシ”と言われようと。
アルゼンチンにとって、試合のポイントはメッシをいかに生かすかにあった。
メッシに対する依存度の高さがチームの弱点であるものの、ひとりで試合を決められる力を持つこの至宝に頼らない手はない。“戦術メッシ”と揶揄されようとも、勝ち上がるためにはなりふり構ってはいられない。
サンパオリ監督は、調子の上がらないアグエロをベンチに置き、メッシを最前線に配置した。
いわゆる“偽9番”の役割を担ったメッシはゴール前に留まるのではなく、自由自在なポジション取りでボールを引き出すことを狙っていた。しかし、メッシに自由はなかった。
なぜなら彼のすぐそばには、世界屈指の守備的MFカンテが終始付きまとっていたからだ。
アルゼンチンの10番は色あせ、フランスは輝いた。
カンテの対応に手を焼くアルゼンチンの10番が沈黙するなか、輝きを放ったのはフランスの10番だった。
11分、自陣でボールを拾ったムバッペが、圧巻のプレーを披露する。
力強いストライドで加速すると、マスチェラーノの対応をものともせずに、エリア内に侵入。慌てて対応したロホに倒されて、PK奪取に成功したのだ。
このPKをグリーズマンが冷静に蹴り込み、フランスが先制する。序盤に生まれたビッグプレーが、“レ・ブルー(青色)”に確かな勢いをもたらしていた。
一方、アルゼンチンは途方に暮れていた。
このPKの前後にも、ムバッペのドリブルを止められずエリア近くでファウルを犯していた。驚異の19歳になすすべなく翻弄され、早くも苦境に陥った。