ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
4度目の決戦は年間ベストバウト級。
中邑真輔vs.AJスタイルズのドラマは続く。
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by(C)2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.
posted2018/06/20 17:00
AJとの戦いは一応の決着をみた。だが中邑真輔は、新日本プロレスとWWEのスタイルを融合させ新境地を開きつつある。
中邑は負けたが評価は上げた!
中邑は、AJのフィニッシュ技フェノミナルフォアアームをジャンピングハイキックで撃墜すると、場外では放送席のアナウンステーブル3台の上を駆け抜けながらキンシャサを叩き込むなど、AJをKO寸前まで追い込む。
ところが、とどめとばかりに放ったコーナーへの串刺し式のキンシャサをかわされると、ヒザに大ダメージを負ってしまい形勢逆転。スチール階段上からの雪崩式スタイルズクラッシュを食らったあと、急所を蹴り上げられ、最後は場外へのスワンダイブ式フォアアームで、アナウンステーブルごと吹っ飛ばされて、ついに力尽き、KO負け。
今回もまたWWE王座奪取はならなかった。
しかし、この試合で中邑真輔は、間違いなくまた評価を上げたことだろう。試合中に観客から巻き起こった「ホーリーシット!(なんてこった! すげえ、マジかよ!)」コールが、ファンの支持を証明している。
AJスタイルズvs.中邑真輔は一応の決着だが。
日本流のストロングスタイルとWWEのスタイルに、さらに破天荒なハードコアスタイルを融合させた、新たなる名勝負をやってのけた両者。
中邑は「レッスルマニア 34」前日の記者会見で、「AJとは前回(新日本で)闘ってからこの2年間、お互いブラッシュアップしてきたので、何かを生み出さなきゃいけない」と語っていたが、ついにそれを成し遂げたのだ。
AJスタイルズvs.中邑真輔のWWE王座を巡る抗争は、このラストマン・スタンディング・マッチで一応の決着を見た。今月末の日本公演は、その“アンコール”的なものとなり、来月からまた新たな闘いが始まるだろう。
WWEは終わらない大河ドラマ。
シンスケ・ナカムラの物語もまだまだ続くのだ。