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大谷翔平、憂鬱な3週間の先に希望を!
靭帯損傷「グレード2」を徹底精査。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byKyodo News
posted2018/06/18 10:30
最高のシナリオは、3週間後の結果が良好で、打者として早期復帰しつつ登板に向けて調整していく、ということだろう。
表現では田中将大より軽症だが……。
大谷の場合、エンゼルスの発表では右肘靭帯の状態を「SPRAIN」と表現した。直訳すれば「捻る、捻挫」となる。
ここで4年前の田中将大の事例を思い出した。メジャー1年目の7月に彼もグレード2の右肘靭帯損傷と診断され、PRP注射を打った。3週間後の再検査の結果次第ではトミー・ジョン手術もあり得るという発表は大谷のものと全く同じだった。
田中の場合、右肘靭帯に部分的な断裂が見つかり、損傷の程度は10%未満という情報が出た。その際の田中の靭帯の状態は「A PARTIALLY TORN」。直訳すれば「部分的断裂」だった。
大谷が「ひねった状態」であり、田中が「部分的断裂」。表現的には大谷の方が軽症と思ってしまうが、本当のところはMRI画像を見なければ専門医にも判断は下せないと言う。
手術との情報も出たが球団は否定。
余談にはなるが、損傷の程度が25%から33%がトミー・ジョン手術への分岐点となり、33%以上は即手術なのだと言う。
結果的に田中はPRP注射から2カ月半後にメジャー復帰を果たし、これまでの3シーズン半で右肘靭帯の炎症で故障者リスト入りした事実はない。もちろん、トミー・ジョン手術の危機が訪れたこともない。
これは大谷翔平のトミー・ジョン手術回避を願う者にとって、前を向けるひとつのサンプルになる。
そんな折り、ESPNのペドロ・ゴメス記者が「大谷はトミー・ジョン手術を受ける必要がある。復帰は早くても2020年」と報じた。
ゴメス記者はスペイン語を操り、ラテン系選手からの信頼が厚い。常に選手ありきの報道をする記者が、何故この時期に、と思ったが、エンゼルスの火消し作業は早かった。
ビリー・エプラーGMがメジャー公式サイトの取材に対し「診断に変更はない。我々の医療担当者が手術を勧めた事実もないし、手術の可能性があるとも言っていない」と話せば、マイク・ソーシア監督は報道陣に対し「我々はGMも医療スタッフも含め手術をする、しないの話には至っていない」と真っ向から否定した。