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W杯直前に間に合った価値ある勝利。
本番でも香川、岡崎、乾を揃えては?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2018/06/13 11:40
香川真司にとって代表でのベストゲームとも言える試合だった。コーチングの声も響き渡り、存在感が際立っていた。
W杯では空中戦が強い相手がいる。
気になったこともある。3-1の時間帯に与えた失点だ。
ペナルティエリア外から決められたミドルシュートは、自陣左サイドの直接FKをきっかけとする。反則をしてでも止めなければならないシーンではなく、むしろリードしている勢いや気の緩みによる雑なファウルだった。
W杯のグループリーグで対戦する3カ国は、リスタートのキッカーと空中戦に強い選手を揃える。同じ種類のミスは、絶対に避けなければならない。
ロシアには行かないパラグアイが、高いモチベーションで戦ったとは考えにくい。追いつかれたあとやリードを許したあとの反発力の弱さは、この試合が彼らにとって大きな意味を持つものではないことを示唆していた。勝っても得るものはさほどなく、負けたところで失うものもない一戦だったのだ。
香川、岡崎、乾は状態も連係も向上。
とはいえ、日本にとっては意味のある勝利だ。
コンディションが不安視されてきた香川、岡崎、乾は、W杯に合わせて仕上げてきた。
一人ひとりの仕上がりの良さだけでなく、攻守において息の合ったプレーを見せた3人を、揃って起用しても面白いのではないか。
左サイドバックの酒井高徳も、タイミングのよい攻撃への関わりで存在感を示した。センターバックの一角でフル出場した植田直通も、人への強さを改めてアピールした。
ここまでの3試合から判断すると、西野監督は4-2-3-1を戦略の核に据えていると考えられる。そして、候補者は出揃った。
トップ下は香川か、本田圭佑か。1トップは大迫か、岡崎か。2列目の左サイドは乾か、宇佐美貴史か。ポジションごとの序列がはっきりしないことは、必ずしもネガティブではなくなっている。
さて、西野監督はどのような判断を下すのか。
19日のコロンビア戦に向けた期待値が、ついに、高まってきた。