サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
香川真司は批判の声を跳ね返すか。
「僕は上手く起点になれればいい」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/06/12 11:50
ガーナ戦、スイス戦とも途中出場したものの大きな見せ場はなかった香川真司。先発のチャンスを生かせるか。
「後ろ向きなことは考える必要はない」
大迫がひとりで奮闘していた前線からの守備についての問題点にも、香川は明確なビジョンを持っている。
「(スイス戦の)映像を見ましたが、サコが明らかに孤立していた。もう少しトップ下、僕や(本田)圭佑くんだったり、両サイドが高い位置をとっていかないと。そこで相手にもっとプレッシャーを与えたい。
たしかに守備はそんなにはやられていなかったですけど、それ以上に相手はショートパスでミスをしていた。そのことを試合中に感じられたら、もっと前から行けた。そういう部分を僕たちは変えていく必要があるし、感じてやっていかないといけない。
選手が連動できれば良いプレッシングがかかっていたので、そこをもっと、自分たちはやれるんだっていうストロングポイントに変えていく。やられたらどうしようという後ろ向きなことは、そこまで考える必要はないんじゃないかなと。
僕や岡ちゃん(岡崎慎司)でそのスイッチを入れなくちゃいけない。相手が嫌がるようなプレスをかけていきたい。そのためにはもっともっと汗をかいてやる必要がある」
リスクを冒すのが自分の良さでもある。
トップ下として、どういうプレーが必要か。それは同じポジションでプレーする本田圭佑とポジションを争ううえで、違いを生み出す重要なポイントとなるだろう。
「トップ下にしばられることはない。どう動くか、自分がどういうところで受けたら一番チームにとっても個人としても輝くかというのは常に意識している。
そして、バイタルに入ったら、やっぱりリスクを冒さないといけない。そこでのプレーが自分の良さでもあるから。もちろんきれいに崩すのもサイドからセンタリングしてというのも理想だけど、相手が固い守備をするなか、リズムを変えたい時に前を向いて仕かける時間帯、前へ入り込んでいく時間帯というのは必要。スピードをあげる時間帯もそうですけど、リスクを冒すことも大事だと思います。
そういう意味で失うものはないので。何を言われようが、もう……言われ切ったと思っているし(笑)、チームも個人も。だから恐れはない。あとは上に向かっていくだけなので。そこを選手がどれだけ信じてやれるか、それを体現したいし、僕は。だからすごい前向きで、本当に楽しみですね」
力強く迷いなく話す香川の言葉に、チャンスを前にした彼の覚悟が伝わってきた。
結果はもちろん、その内容で状況を変えられる。それは選手個々人だけでなく、チームにとっても同様だ。日本代表に対する世間の眼も、まだ変えられるかもしれない。