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IWGP大阪城決戦は1時間越えの死闘!
新王者ケニー・オメガ、10年間の執念。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/06/12 11:00
絶対王者と思われていたオカダだったが、V13に失敗。敗北後しばらくは、ケニー・オメガの足元に横たわったままだった。
1本目を取られた後、もう終わったと思った。
憔悴したオカダはまだオメガの足元に横たわっていた。
オメガはレフェリーと飯伏に両手を挙げられて自分の勝利を実感すると、ある感情がこみ上げて来たという。
「1本目を取られた時、ストレスが襲ってきた。1本目を取ることが重要だと思っていたからだ。でも、1本目を取られてしまって、自分の中では終わったなと感じた。そのあと2本連続で取らなくてはいけない。それにはどうすればいいんだと考えてしまった。
そこで飯伏が、集中力を保つように、まだ試合は終わっていないのだから冷静になって、集中力をキープして戦うように、とアドバイスしてくれたんだ」
この日、試合はなかったが、飯伏幸太はオメガのセコンドに付いた。コーナーのエプロンからオメガの動きをずっと追っていた。
飯伏のサポートが無ければ勝てなかった。
2月に復活した飯伏とオメガの“ゴールデン☆ラヴァーズ”。その盟友オメガは、オカダを倒すために、そして飯伏にも見せるために、力強く、豪快に場外にも飛んでみせた。その飛距離は場外フェンスの外にまで至った。
「この試合でも、そしてこの試合に向けた時間も、飯伏のサポートがなければ、この結果に結びつかなかったと思う。自分は独りじゃない。このベルトを手に入れたという事実は、自分だけじゃなく、(飯伏や“ヤングバックス”を含めた)チームで得た勲章だと思う。
自分では素晴らしいレスラーであるとは思っているが、もしかしたら最高じゃないかもしれない。でも、彼らがいたからこそ成し遂げることができた」
1時間を超える戦いは、どちらにとっても未知の領域だった。
「60分以上の試合に自分が耐えられるかどうか……いくら体を鍛えても、どれだけ努力してもそれはダメなんじゃないかとも思った。でも60分以上、余裕でこなせるというところをしっかりと見せていかないといけない、オカダに見せなくてはいけないと思っていた。そして、今夜の試合では、それがしっかりできたと思っている」