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IWGP大阪城決戦は1時間越えの死闘!
新王者ケニー・オメガ、10年間の執念。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/06/12 11:00
絶対王者と思われていたオカダだったが、V13に失敗。敗北後しばらくは、ケニー・オメガの足元に横たわったままだった。
オメガが日本に来て10年が経っていた……。
「今、試合は終わったが、まだ終わってないような不思議な感覚だ。もしかしたら自分は最高じゃないかもしれない。試合はまだ終わっていないかもしれない」(オメガ)
日本にやって来て10年という長い歳月が経過したということにも思うものがあった。
手にしたIWGPという名の重いベルト。
目の前に置かれたそのベルトに手を伸ばしてみる。それはもういつでも触れる場所にあった。
何とも言えない、いい感触がオメガの指先から体に伝わってきた。
「日本を離れるかもしれないと思っていた」
「旅というものは、始める前に何か必ず目標を立てるものだと思う。そしてここまでの長い旅路は、その目標を達成するためのものではあったけども、違った見方をすれば、いま獲得したものよりも、その旅路そのものの方が何よりも大切で、そのシンボルがこのベルトだったと思う」
「この10年、色々なことをやり遂げてきた。もちろん、最後の目標は、このIWGPヘビー級チャンピオン。もし、このベルトを取ったら、日本を離れるかもしれないと思っていた。
けれども、試合中、プロレスの未来を見てしまった。プロレスが本当に進化したのを感じたから、新日本のリーダーとして、新日本のチャンピオンとして、ここで次のステップを踏んで、前に進みたい」
オメガは大阪城ホールの試合の証人となった満員の観客を見つめてそう告げた。