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吉田麻也「恥ずべき試合でした」
厳しい言葉は日本を団結させるため。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byAsami Enomoto
posted2018/06/01 17:30
ガーナ戦で吉田麻也は3バックの右、4バックのセンターバックを任された。本番がどういう形になるとしても、不動の主力である。
「大崩れしていないのに失点してしまう」
失点は2点ともセットプレー。流れの中ではやられていないという感覚はありますか?
この質問にも、冷静に答えた。
「いつもそうなんですけど、そんなに大崩れしていないのに失点してしまう試合がずっと続いているので。結局、そこなんですよね。点を取られたら勝てないし、点を取らないと勝てない。(昨年の)10月から1回も勝っていないので。そこをちゃんと理解して、内容がどうかっていうより、まずは闘わないといけないなと。そういう根本的なところから話を進めていかないといけないんじゃないかって感じています」
ロシアW杯への出場権を獲得した昨年8月のオーストラリア戦以降、日本代表の戦績は、国内組だけで戦ったE-1選手権を除くと、1勝2分5敗。今回のガーナ戦での敗北によって、ファンのチームへの期待値がさらに下がったのは間違いない。
「選手、スタッフ、協会、ファンみんなが」
そんな逆境の中で、チームが息を吹き返すために必要なものとは何か。Number953号のインタビューの中で、吉田はこう答えている。
「まずは選手、スタッフ、協会、ファン、みんなが同じ方向を向けるかだと思います。例えばある選手は『とにかくW杯に出ることが目標』と考える。別の選手は『このW杯で活躍して、クラブでもステップアップしたい』とか、『大金を稼ぎたい』と考える。そうやって100あるエネルギーをいろんなところに分散するんじゃなくて、全員が『日本のために労を惜しまず走って、W杯で結果を出す』ことに集中できるか。これができれば、ものすごいエネルギーになると思うんです。
ブラジルW杯のときは、僕も含めてみんなが不完全燃焼で、自分の力を出し切れずに終わった。今回は、全員が自分の持っている100%のものを出し切ることに集中できればと思います」
選手、スタッフ全員が同じ方向を向くために。まずは、現時点での自分たちの状況を冷静に受け止めよう。この危機的な状況を認識した上で、自分たちがやるべきことを見つめ直そう。
「恥ずべき試合」という厳しい言葉は、吉田からチームメイトたちへのメッセージに聞こえた。