プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
オカダ・カズチカvs.ケニー・オメガ。
IWGP戦、時間無制限3本勝負の真実。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/05/28 08:00
これまでも多くの名勝負を繰り広げてきた2人。アメリカ進出も念頭に、新日本プロレスの新しい時代の扉を開けるか?
プロレスを面白くするための3本勝負。
さて、前例の説明が長くなってしまったが……そもそもIWGPヘビー級選手権は、タイトル戦となって以降、ずっと1本勝負で行われてきた。
だが、オカダやオメガの考える時間無制限3本勝負の狙いは、プロレスを面白くするための、「目的」に対する「手段」なのだ。
2017年1月4日に東京ドームで行われたオカダvs.オメガの戦いは世界に訴えることができる戦いだった。
オカダが46分45秒、レインメイカーで勝ったが、もう個人的にはこれを超える試合は難しいのではないかと感じられていたし、実際にプロレス業界ではそう言われてきた。
同年6月11日、大阪城ホールでは60分フルタイムを戦って、決着がつかなかった。
だが、決着がつかなければ、ファンの満足度は低下する。
フルタイム戦は美化されることが多いが、何のために戦ったのか、答えを導き出せないからだ。
「世界中が注目していることを意識している」
IWGP戦ではないが、昨年8月のG1クライマックス公式戦は30分1本勝負だが、オメガが片翼の天使を決めて24分40秒でオカダに勝っている。
だから今回の対戦で、星取表的には1勝1敗1分での決着戦ということになる。
「世界中が注目していることを意識している。彼らを満足させないといけない思いがある。どう戦って、どういう勝ち方をするか」
“ベスト・バウト・マシーン”と自らを呼ぶオメガは、ファンの期待に応えるためにいつもそういう気持ちで戦っている。そうでなければ、プロフェッショナルではないとオメガは思っている。
オカダの考えはこうだ。
「オレの中では1勝1敗1分というよりも、あの大阪城ホールの続きで、あの時しっかり見てくれていたお客さんに、エンディングというものを見せたかった。だから、時間無制限1本勝負でいいんじゃないかと思いました。
まさか、ケニーが3本勝負を言ってくるとは思わなかった。でも、ケニーが時間無制限を呑んでくれるなら、オレも3本勝負を呑んであげようと」