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福永祐一、19度目でのダービー制覇。
「父への報告は顔を見てから」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/05/28 11:45
福永祐一のダービー制覇は多くの人にとって「やっと」だった。本人はどう感じているのだろうか。
香港よりドバイよりダービーは特別。
「もうこのまま勝てないんじゃないかと思ったこともありました。調教師になって勝つしかないのかなと(笑)。初めて緊張に呑み込まれる経験をしたのがキングヘイローのダービーだった。そして、騎手人生のなかで一番悔しくて、無力感を味わったのがエピファネイアのダービーだった。
かと思えば、今、経験したことのない高揚感、充実感を味わわせてくれている。こういう経験をさせてくれる特別なレースなんだと、勝ったことでわかりました。ダービーだけは違うと聞いていたのですが、香港やアメリカ、ドバイでもGIを勝ってきて、やはり、ダービーが一番特別でした。上手く言い表せないのですが、普通、GIを勝つと喜びが先に来るんですけど、ダービーは、よくわからない違う気持ちになるんです」
「スーパールーキー」と騒がれた福永も41歳になった。通算21勝目のGIは、特別だった。
「勝ってないのはぼくだけだった(笑)」
福永が友道厩舎の馬によく乗るようになったのは、2008年の鳴尾記念などを勝ったサクラメガワンダーの主戦として起用されるようになったころからだ。
「騎手に醍醐味を与えてくれる調教師さんです。それに応えられて、今日はよかったと思います。友道先生はマカヒキでダービーを勝っているし、金子オーナーはダービー4勝目で、ワグネリアンの父はディープインパクト、母の父はキングカメハメハだから、ダービーを勝ってないのはぼくだけだった(笑)。
この馬は、今まで乗ってきたGIホースと違って、何で走るのかよくわからないんです。今日なんか、あのサイズ(450kg)の馬にできる競馬じゃなかった。ねじ伏せましたからね。
マイルとかで走るようになりかねない馬に距離をもたせるのは『厩舎力』だと思います。今年が平成最後のダービーというのは意識していました。次の元号でもダービージョッキーになれるよう、精進していきます」