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リオ銀リレー4人組は楽しくて強い。
ガトリン擁する米国相手でも余裕が。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2018/05/23 10:30
100mでもさらなる記録更新を期待されるケンブリッジ飛鳥と桐生祥秀。リレーにも相乗効果が起きるはずだ。
「いつでも37秒台が出せるチーム」
優勝後、メンバーが場内1周を始めると、スタンドからは黄色い声援が飛ぶほどのにぎわいを見せた。短距離、長距離も含めて、こんな状況はなかなかないのではないか。
37秒85はリオ五輪銀メダル獲得時、その予選に続き、日本歴代3番目のタイムになる。日本陸連の土江寛裕コーチも「まだまだタイムが出る」と伸び代があるチームに笑みを見せ、こうも話している。
「バトンのつなぎとかまだすべきことがある中、このタイムなので手応えは感じているし、いつでも37秒台が出せるチームだと思った」
山縣は、チームの完成度にさらに自信を深めた。
相乗効果で、もっと強くなる。
ただ、アジア大会に向けては中国が巻き返しにくるだろうし、世界相手ならアメリカ、イギリス、ジャマイカが強敵になるだろう。
また、東京五輪までの間、多田修平やサニブラウン・アブデルハキームなど調子を上げてくる選手が出てきて、メンバーが入れ替わるかもしれない。それでも、男子リレーチームに期待せずにはいられない。このまま個々が成長していけば、東京五輪のメダル獲得の目標となる37秒台前半のタイムも可能だろう。
「みんなで力を出せば、いい結果を出せるメンバーだなってみんな思っているので、自分はある意味、気持ちを預けるみたいな感じですごくやりやすかった。すごく楽しかったですね」
山縣は、そう言って笑った。競技を楽しめるのは、強いからでもある。そして、それは個々のレベルが上がっている証拠でもある。
「このメンバーは相乗効果でもっと強くなる」
ケンブリッジも未知の強さを楽しみにしているようだ。今の勢いがどこまで継続するのか分からない。だが、「楽しい」とそれぞれが感じているならば、このチームは、さらに伸びる。
彼らの「楽しい」は、「強い」でもある。