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西川周作は代表漏れの瞬間、笑った。
'22年W杯こそ正守護神になるため。
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byGetty Images
posted2018/05/25 11:30
同学年の東口順昭と長きにわたった日本代表GK争い。ガンバ大阪との試合後にはお互いをたたえ合った。
ブラジルW杯直前での悔しい試合。
ブラジルW杯があった2014年は、西川が浦和に移籍してきた年だった。W杯開幕直前の国際親善試合ザンビア戦でスタメンのチャンスを得たが、勝利はしたものの4-3と守備陣としては出入りの激しい試合になった。
もしこのゲームを無失点で抑えていたら、本大会も西川に大きなチャンスが訪れていたかもしれない。この試合について今でも「一番の悔しい試合で、今でも忘れないですね。チャンスをものにできるかだった」と本人も話す。
結局、ブラジルではベンチから試合を見るにとどまり、「次のロシア大会こそ」という決意を胸にW杯の戦いから戻った。
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その後、川島永嗣が無所属の状態になったこともあり、西川はヴァイッド・ハリルホジッチ監督のもとでチャンスを得た。ロシア大会へのアジア最終予選では、10試合のうち前半5試合で西川がゴールを守っている。少なくとも、本大会に立つ資格という意味では十分だった。
「西川は大丈夫だぞ」と示したかった。
しかし、昨季パフォーマンスの低下を指摘された西川は、代表から外される厳しい決断にも直面した。その時は精神的にも難しい状態を過ごし、筆者も代表落選がプレーに影響していると感じることもあった。
ただ、それは西川にとって繰り返してはならないことだった。
代表発表直後の試合は、冒頭に記した通りガンバ戦だった。相手GKはメンバー入りを果たし、同じ1986年生まれの東口順昭であるからこそ、無失点で抑えたかった。今回のメンバーの中で、川島が所属クラブでここ最近スタメンを張り続け、中村航輔(柏レイソル)が少し若い年代であることを考えれば、西川と東口の間での選考になった可能性は決して低くない。その思いは、こんな言葉に集約されている。
「今回、代表発表があっての次の日の試合で特別な思いがあったし、プレーで示すことで周りの応援してくれる人に『西川は大丈夫だぞ』と示したかったんです。僕自身は大丈夫ですけど、プレーで、結果で示すことが大事だと思っていたので。僕自身、昨年の経験というのは今に生きているなと思いますし、メンタル的にも落ち着いてプレーできているので、あの経験は無駄じゃなかったと思います」