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ク・ソンユン「札幌は1つの家族」
韓国のクルトワに股抜きは通じない。
text by
岩崎龍一Ryuichi Iwasaki
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/05/16 07:00
Jを席巻する韓国人GKの中でも、ク・ソンユンの存在感は輝いている。
高3でセレッソに加入し、日本へ。
韓国の在鉉高校3年時にセレッソ大阪の目に留まった。それが日本との出会いとなった。18歳の誕生日を迎えた翌月の2012年7月に入団テストを受けて、高校在学のままセレッソ大阪U-18に加入。翌8月には2種登録選手ながらトップチームに登録された。
しかし、チームには韓国代表GKのキム・ジンヒョンが君臨していた。公式戦での出番はなかった。
2015年にコンサドーレへ完全移籍したことが転機となった。新天地でレギュラーをつかみJ2での活躍が認められたことで、韓国五輪代表の正GKの座を獲得。2016年リオデジャネイロ五輪では、4試合中3試合に出場しベスト8進出に貢献した。
来日してもうすぐ丸6年になる。本人は「あんまり日本語がうまく出てこないです」と笑って謙遜するが、とても流暢に日本語を話す。その語学の上達と同様に、サッカーでも充実の時を迎えている。
長身GKの弱点である股下もケア。
今シーズンのコンサドーレは、第14節を終えて7勝5分け2敗の3位と誰もが予想しなかった順位を走っている。
無敗記録も第4節から11試合に伸ばした。躍進の基盤となっているのが守備力だ。昨年、第14節時点での失点は21だったのに対し、今年は13。明らかに向上している。その一翼は、間違いなくク・ソンユンが担っている。しかも、高いレベルで。
「僕自身、無敗記録ということはあまり気にしていないんで。とりあえず目の前の試合を勝つ。そういう気持ちでやっている。失点が少なくなっているのは、うちのサッカーの守備のスタートが前になっているから。それがいいんじゃないですかね」
結果はスコアレスドローとなったが、2位・FC東京との上位対決となった第14節でも素晴らしいプレーを見せた。
44分の大森晃太郎のミドルシュートを、魔法のように伸びる左手一本でセーブ。54分には右サイドを抜け出した室屋成との1対1を「股抜きもあるから気をつけなければいけない」と低い姿勢で入って、左足でブロックした。
長身GKの最大の泣き所は、股の下。その弱点をケアした上での判断は、とても熟考されている。