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「日本にハイプレスは不向き」か?
千葉&徳島スタッフの言葉から探る。 

text by

渡辺功

渡辺功Isao Watanabe

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/05/10 10:30

「日本にハイプレスは不向き」か?千葉&徳島スタッフの言葉から探る。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

個性的なスタイルは反発も受けがちだが、千葉と徳島のサッカーはたしかに魅力的なのだ。

90分間のプレッシングが不可能なのは世界共通。

「90分間のプレッシングが不可能だとされているのは、日本だけではありません。たぶん世界中そうです(笑)。というのは、ボールを奪ったときのプレーの正確性が必要ですし、ボールを失ったときに、動かなくてはいけない距離を短くしなくてはなりません。

 走る距離が長ければ長くなるほど、90分間は持たなくなってしまいます。理想は相手陣地で良いポジションをとって、連動して、ボールを失ったら速く奪い返す。

 で、奪い返したあとには、相手にボールを渡さない。それはけっして簡単なことではありません。でも、僕らはそれに挑戦し続けます。少なくともやろうと思っています」(エスナイデル監督)

徳島も速いプレスを貫いている。

 母国スペインをはじめ、サウジアラビアやタイでの指導歴を持つリカルド・ロドリゲス監督のもと、徳島ヴォルティスも速いプレスを重視した、ボールを失ったら直ちに全力で奪い返して、再び攻撃に行くサッカーを展開。昨シーズンのJ2に新風を吹かせた。

 だが千葉同様、今シーズンの開幕ダッシュはならず。6節から6試合勝利がなく、4月22日の「東四国クラシコ」カマタマーレ讃岐戦ではボール支配率67%、シュート数27対5と圧倒しながら、0-1で敗れていた。

 敵陣深くまで攻め込みながら、ガッチリと引いて守る相手にゴールを奪い切れない。内容と結果がリンクしないゲームが続いていた。

 5月6日のアウェィ・水戸ホーリーホック戦は1-0で勝利したものの「率直に言えば良い試合ではなかった。前半は何もしていなかった」と、今シーズン最少のシュート4本に終わった試合に、ロドリゲス監督は物足りなさを覚えていたようだ。

 それでも、左のウィングバック杉本竜士は自陣の最終ラインから全速力で味方FWを追い越して相手DFにアプローチし、ボールを持った水戸の選手に、次から次へと選択肢を消し去るようにプレッシャーを与えてはバックパスを誘発したり、ロングキックの精度を乱したりしていた。

【次ページ】 同じ4-4-2でも、相手によって仕掛け方は変わる。

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