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「日本にハイプレスは不向き」か?
千葉&徳島スタッフの言葉から探る。
text by

渡辺功Isao Watanabe
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/05/10 10:30

個性的なスタイルは反発も受けがちだが、千葉と徳島のサッカーはたしかに魅力的なのだ。
同じ4-4-2でも、相手によって仕掛け方は変わる。
「ケガ人がいたり、最近なかなか点が獲れていなかったりしたこともあって、きょうは相手の揃わない状況をつくろうと、戦術的に前からプレッシングに行かないで誘っていたんです。まぁそれでも点が獲れなかったから、結局後半はいつも通り、前から行ったんだけどね」
こう苦笑いするのは米田徹コーチだ。旧JFLの甲府クラブで短期間プレーしたあと、25歳から三菱養和などで育成年代の指導を続け、'07年にヴァンフォーレ甲府でトップチームのコーチを初めて担当する。
それを皮切りにFC岐阜、千葉、カターレ富山といったJクラブのコーチを毎年途切れることなく務め、'16年からは徳島に籍を置いている。さまざまな監督のサポートをしてきた米田コーチに、試合終了まで足を止めないロドリゲス流プレッシングの要諦を尋ねてみた。
「鍵になっているのはポジション。相手のDFやGKに、当てはめやすいポジションを取らせている。だから、相手の立ち位置が変わると、こちらの立ち位置も変わる。ただ、同じシステム、たとえば同じ『4-4-2』の相手であっても、対戦するチームが違えば、プレスの行き方を変える。
あのチームなら、こうやって行けばここでボールが獲れる。このチームだったら、ここからこう行かないと獲れない。ポジションごとに応じた練習をすごくやる。そうやってプレッシャーに行く形を明確にして準備するので、あまり無理、無茶な追いかけ方はしない。その分、効率は良いと思う」
日本の常識とはプレッシング自体が違う。
プレッシングの定義そのものも、日本の常識とは若干ズレがあるようだ。
「徳島に来たばかりの選手によくあるケースなんだけど、『ちゃんと自分の動きに付いてきているかなぁ』って後ろを気にしながら前に行く。それだとプレッシャーが掛かったことにはならないって、ロドリゲス監督は言います。
日本でよく使われる、どちら側のコースを切ってみたいな言い方もほとんどしません。プレッシャーっていうのは、相手が慌てる、顔が下がる、ミスが出る。そういう状況をつくることなんだと。
190cmくらいの外国人選手ならドタドタと行っても相手は慌てるだろうし。相手が狙っているパスコースに、ちょっと顔を出すだけでも慌てるかもしれない。それはその人なりのやり方があるから。大切なのは、相手がどうなっていたら、プレッシャーの掛かった状態とするのか。それをチーム全員で共通理解しておくこと」