草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
松坂大輔が“勝てる投手”である理由。
小倉元部長に育まれた横浜高の遺伝子。
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKyodo News
posted2018/05/10 08:00
横浜高の卒業式で小倉部長(中央左)らとともに記念撮影をする松坂(中央)。西武ライオンズでは高卒1年目から16勝を挙げた。
横浜高エースの系譜を継げる男は……。
'14年夏をもって後進に道を譲った小倉氏だが、この年に入学した代にも将来の日本球界を担っていきそうな逸材がいる。楽天の藤平尚真だ。ここまで1勝3敗、防御率5.33(5月8日現在)と苦しんではいるものの、潜在能力はきわめて高く評価されている。
「真っ直ぐの質がすごくいいんです。腕を振っていないのに球はくる。打者は『あれ?』となって差し込まれるんです。ドンとくる田中の真っ直ぐとはタイプが違いますが、同じ年齢で真っ直ぐだけを比べたら、藤平の方が上かもしれません」
こんな期待値を示したのは嶋基宏だ。その藤平が生まれたのは1998年。そう松坂が春夏連覇を成し遂げた年だ。19年後に同じ校門を出て、プロに入った。同校OBの現役投手はここに挙げた4人と成瀬善久(ヤクルト)。全員が甲子園のマウンドで躍動し、柳以外は高校から直接プロへと進み、成瀬以外はドラフト1位指名されている。
いずれも投げるだけではない万能型。横浜のエースの遺伝子は脈々と受け継がれている。