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メドベデワと羽生結弦が同門へ。
「最強チーム」で北京五輪に挑む。
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2018/05/09 17:00
ルール変更はメドベデワにとっても追い風となる可能性が高い。北京オリンピックへ向けて最高のスタートを切った。
ルール変更でジャンプの質が重要に。
メドベデワが移籍を決めた更なる理由としては、来季からのルール変更もあるだろう。
今後は、ジャンプの基礎点が下がり、そのかわり質の良し悪しによる加減点(GOE)が現在の7段階から11段階へと幅広くなる。つまり、「4回転ジャンプをたくさん跳べば高い得点を得られる」のではなく、「いかに質の高い4回転ジャンプを跳んだか」のほうが重要になる。
「ジャンプの質の高さで得点を稼ぐ」のは、まさにチーム・ブライアンの手法。これまでフェルナンデスと羽生は、GOEで最高評価の「+3」を得ることで高得点を得てきた。今後「+5」を狙っていくための土台は、十分にできていることになる。メドベデワ自身も「+3」を多く得てきた選手だが、今後、「+5」を狙っていくために、新しくチーム・ブライアンの練習手法を取り入れることは有益になるだろう。
22歳で北京オリンピックを迎える。
また高い芸術性を磨いていくためにも、新しい環境はプラスに働く可能性が高い。
すでにオーサーとメドベデワと振付師のデイビッド・ウィルソンは、来季のプログラムについて話し合いを始めているという。これまでロシアでは、選曲も振付もジャンプの種類も、すべてをコーチが決め、選手の意見は聞かれなかった。
しかしオーサーは、「どんな曲を滑りたいのか」「どんな音楽に興味があるのか」「どんな演技が快適なのか」というメドベデワの意見を、毎日のようにメールで聞き出そうと努めているという。
北京オリンピックでは22歳になるメドベデワにとっては、彼女の自主性を重んじるやり方のなかで、より円熟味を増した表現を磨いていくことになるだろう。
オーサーによると、メドベデワがトロントで練習を再開するのは6月頃の予定だという。才能ある少女とオーサーによる新たなタッグが、これまで以上に魅力的なフィギュアスケートの演技を生み出してくれることに、世界から期待が高まっている。