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勝利を「喜べない」西谷浩一監督。
大阪桐蔭を勝たせ続ける思考法。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKyodo News
posted2018/04/09 08:00
勝つことと勝ち続けることの違いを熟知する西谷浩一監督。大阪桐蔭の黄金時代はまだまだ続きそうだ。
勝利を「喜べる人になりたいですね」。
2012年にエース藤浪晋太郎(阪神)を擁し選抜大会を制したとき、西谷監督は、表彰式が終わり、場内を行進して戻って来た選手にすかさずこう言った。
「ここから、もう夏が始まってるんやで」
この春は、表彰式の直前に「夏につながる閉会式にしような」とだけ声をかけたという。
「行進しているとき、夏、もう一回同じように行進しようとか、いろんなことを感じて欲しいと思ったんです」
西谷監督は「飲もうと思えばいくらでも飲める」が、仕事の付き合い以外で酒を飲むことはまずないそうだ。
「勝っても乾杯もしないくらいですから。特にお祝いもしないですし。部長の有友(茂史)先生には、勝ったときくらい何かしようよと言われてます。(勝ったことを)喜べる人になりたいですね」
でも、おそらくきっと、喜べない人だからこそ、これだけ勝ち続けられるのだ。