松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹の「最悪」と「戦える」。
初めて帯同する妻子もプラスに影響?
posted2018/04/04 14:30
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Sonoko Funakoshi
『ゴルフの祭典』マスターズの開幕が2日後に迫っている火曜日の朝。
宮里優作と一緒にオーガスタで練習ラウンドをしていた松山英樹の表情は、意外なほど穏やかだった。
今年2月、大会3連覇を狙っていたフェニックス・オープンの初日に左手親指の付け根付近に激痛を感じ、検査や治療のために緊急帰国。3月15日からのアーノルド・パーマー招待で1カ月半ぶりに試合に復帰し、翌週はマッチプレー選手権に出場。マスターズ前に出られたのは、その2試合のみだった。
アーノルド・パーマー招待は予選通過を果たしたものの、最終日は74を叩き、49位。マッチプレー選手権では総当たりする3日間の1次リーグで敗退。決勝マッチに進めず、コースを去ろうとしていた松山には、さすがに落胆と焦りが色濃く見えた。
心配されている左手の状態はどうなのか?
「試合ができる範囲内だったので」と悔しそうに答えた。練習も「球数はあんまり打てない」と残念そうに言った。
思うように練習ができず、十分に試合の場で戦いの感覚をブラッシュアップすることもできぬまま、「マスターズに向けて、しっかり体調を整えて頑張ります」という以外に言えることがない。それが、マスターズ前に最後に見た松山の姿だった。
「最悪です」「(期待は)ゼロです」
だからこそ、オーガスタで穏やかな笑顔をたたえながら練習ラウンドをしていた松山の様子に「あれっ?」と首を傾げてしまった。とはいえ、ラウンド後の囲み取材では、やっぱり松山は暗くなりそうな言葉ばかりを口にした。
調子は「最悪です」。練習ラウンドは「ただ回っただけって感じ」「金曜日から回ってますけど、良くなったり悪くなったり」「練習ではいいけど、コースに行ったら悪いので、どうしようもない」。
今週、自分に対する期待は「ゼロです」。
残るは、あと1日。何をどう重点的に練習し、修正を目指すべきか、その方針は見えているのかと尋ねると「悪すぎて、どれを練習すればいいのかわからない。大典さん(進藤大典キャディ)に何をやればいいって聞こうかな」。
そんなふうに松山の口調はトーンダウンするばかりだった。