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バド渡辺&東野組、全英OP初制覇。
中学の先輩後輩が最高のダブルスに。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAP/AFLO
posted2018/03/26 07:00
全英オープン優勝を飾った渡辺・東野組。日本バドミントン界の躍進ぶりをまた象徴する快挙となった。
福島の同じ中学で育ち、関係は途切れず。
ミックスダブルスで成績が伸び悩んだのは、国内大会がジュニアの時期に限られ、男子あるいは女子ダブルスの強化が重視されていたことが原因だ。
そのため本格的に打ち込む選手が少なく、シニアレベルでも即席に近い形で組んで国際大会に出場するケースが少なくなかった。加えて、選手の所属先が別チームであることも多かった。
渡辺と東野は、バドミントンの強豪として知られる福島県富岡町立富岡第一中学校の生徒だった。2009年に東野が、翌年に渡辺が入学と、東野が1学年先輩だ。中学時代、2人はそろって海外遠征に出たことがある。そのときペアを結成して大会に出てみると、強豪選手がそろう中で3位に入った。
その後、2人は富岡高校に進む。どうしても、ミックスダブルス中心というわけにはいかなかったが、2014年の世界ジュニア選手権に出場してベスト4に入るなど関係は途切れずにいた。
マレーシア代表コーチを招聘するなど本腰。
そもそも渡辺はフットワークと多様なショット、東野は高校時代からジャンピングスマッシュを決めていたように、それぞれ将来性を感じさせる選手だった。個々の力に加えて、高校時代に出場した2014年の全日本総合選手権での試合ぶりからも、渡辺の後衛からの多様な攻撃、東野の前衛での反応力が相性の良さを感じさせた。
2015年には追い風もやってきた。「今後は東京(オリンピック)へ向けて強化しないといけないと思います」と日本バドミントン協会の芝スミ子強化本部長(当時)が語っているが、その方針のもと、2016年になってミックスダブルスの日本B代表に選出されたのである。また、渡辺が東野と同じ日本ユニシスに進んだことも、強化においてプラス材料だった。
さらに協会は、マレーシア代表男子ダブルスのコーチ、ジェレミー・ガン氏をミックスダブルス専任コーチとして招聘。今年に入ってから指導が始まり、渡辺、東野にもよりフレキシブルな戦い方ができるようアドバイスを与えている。渡辺は「新しい考え方が合っていると思います」とその効果を語っていた。