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大坂なおみとサーシャ・バイン。
初タイトルに敏腕コーチとの出会い。
text by
吉谷剛Tsuyoshi Yoshitani
photograph byGetty Images
posted2018/03/21 09:00
バインコーチの言葉に、満面の笑みを浮かべる大坂。その信頼関係は早くも分厚くなっている。
なおみとサーシャ、2人の物語はまだ序章。
20歳と若い女が、経験豊富な男のしたたかな戦略の全貌に気づいているのかは分からない。
大坂は「歩道にブロックが置いてあったら普通の人はよけて過ぎ去るわよね。でもサーシャは『なんでブロックで道をふさいでいるんだ』って議論をし始めるのよ」と、男の「気にしい」なエピソードを明かす。
試合中のオンコートでのアドバイスについて内容を尋ねても「いいプレーをしているとか言ってくれているけど、いつも何を言っていたか覚えていない」と、くすりと笑う。サーシャのオンコートでの音声を聞くと次の展開やプレーを助言し、大坂もそのアドバイス通りにプレーをしていたりもするので、今のところ男と女の「すれ違い」を心配する必要はなさそうだ。
世界一になれる器を持ちながらネガティブな考えで殻を破れなかった女が、明るく細かい気配りができる男の支えで一気に才能を開花させた。なおみとサーシャ、2人の物語はまだ序章にすぎない。