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3月欧州遠征の代表復帰も絶望的に。
開き直るしかない香川真司の本心。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2018/03/14 11:30
2月の負傷までは、シュテーガー監督(左)から信頼を得て好調を維持していた香川だが。
「もう怪我の話はいいですか?」
ワールドカップまでのカレンダーを考える報道陣からため息がもれると「もう怪我の話はいいですか?」と香川が重い空気を破るように言った。
だからなのか、代表チームについても、毅然と答えた。
「(吉田)麻也も含めて、怪我人が多いので、新しいメンバーが入ると思うし、そういうなかでも、この2試合は11月に出た課題の修正を少しでも見せられる場にしなくちゃいけない。僕は、今回そこ(代表)には行けないですけど、それを外から見られたらいいかなと思っています」
招集されなかったが、ブラジル戦もベルギー戦も、香川はスタジアムへ足を運んでいる。日本代表の一員として、その現状が気になったのだろう。そこには彼の自負が感じられた。彼にとっては、代表もドルトムント同様に大切なチームであることに変わりはない。
「サッカーができることに感謝したい」
すでに日本時間では3月12日になっていたが、「3.11」について訊いてみた。
香川にとって第二の故郷ともいえる仙台が被災した東日本大震災から7年が過ぎていた。
「自分自身にとってはやはり毎年、感じることはあります。僕がやれることは、ピッチの上で活躍し続けること。
今は怪我しているので残念ですけど、震災が起きた日に対して、あの日を思い浮かべながら……今も被災で苦しんでいる人たちが数万人もいる。そのことは改めて頭に入れておきたいですし、そのなかで何ができるかを、それぞれ考えながらやれればいいかなと思います。
僕も去年4月のテロ(ドルトムントのバスが爆破された事件)を経験して、いつ自分の身が不幸に落ちるか分からない、と思った。やっぱり、日々生きていられることだったり、サッカーができることに感謝したい。
サッカーができる当たり前の日常が、怪我をしたことで、当たり前じゃなくなった。そういう意味でも、感謝という気持ちは強いですね」