ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
松本亮が浴び続けたボディーと洗礼。
“与しやすい世界初挑戦”の誤算。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2018/03/01 11:30
執拗なボディ攻撃に松本亮の体が折れるシーンもあったが、それでも最後まで倒れなかった。決してこれで終わりではない。
タフネスとハートの強さは証明した。
このチャンピオン、なかなかのいぶし銀なのである。ローマン挑戦を目論むライバルたちは、この日のパフォーマンスを見て、気持ちを大いに引き締めたことだろう。
結局、松本はローマンのボディブロー浴び続け、顔面にも少なからず被弾した。「よく倒れないな」と思わせるタフネスぶりとハートの強さを証明したものの、手を上げられることなく、世界戦のリングを下りた。
公式スコアは119-109が2人、118-110が1人だった。
松本は井上尚弥と同級生の24歳。これで終わりというわけではなく、今後に希望を持てることが救いだ。「もっと練習して上を目指したい」との言葉を素直に受け取ろう。
世界初挑戦に敗れ、のちに世界王者になったチャンピオンはたくさんいる(師匠の大橋会長がそうだ)。決して平たんな道のりではないかもしれないが、あのとき大きく肩を落としたボクサーの成長を見守るのも、またファンの楽しみである。