ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
山中慎介の見たことがない練習風景。
「あの負け方ではやめられない」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2018/02/28 08:00
山中慎介の「神の左」は、ネリに距離をつぶされて本領を発揮できなかった。今回はどんな対策を組んでくるか。
「ネリのことしか考えていなかった」
世界王座から陥落した選手が、負けた相手にダイレクトで挑み、ベルトを奪回したケースは決して多くない。
WBA世界スーパー・フェザー級王座を11度防衛した内山高志がジェスレル・コラレス(パナマ)に2度続けて敗れたケースは記憶に新しい。日本での成功例は、柳済斗とオスカー・アルバラードにリベンジした輪島功一、川嶋勝重からベルトを取り戻した徳山昌守しかいない。こうしたデータもあってか、関係者の間では「今回の山中は厳しいのではないか」という声も少なくない。
もちろん山中自身も今回のチャレンジが簡単なものでないことを十分に自覚している。だからこそ、不得手な接近戦の練習にも取り組んだのだ。
「現役続行宣言をしてから、ネリのことしか考えていなかったし、リベンジすることしか考えていなかった」
伝統のバンタム級で12度の防衛を誇った元王者は雪辱を果たすことができるのか。予想は五分五分。緊迫のフィナーレは間もなくゴングだ。