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山中慎介の見たことがない練習風景。
「あの負け方ではやめられない」 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2018/02/28 08:00

山中慎介の見たことがない練習風景。「あの負け方ではやめられない」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

山中慎介の「神の左」は、ネリに距離をつぶされて本領を発揮できなかった。今回はどんな対策を組んでくるか。

足でリスクを回避することが何より重要。

 距離を保てず、中途半端な距離で連打を許すくらいなら、グッと距離を詰めて連打を封じる、場合によってはクリンチしてパンチを打たせない、というのは1つのセオリーではある。

 一方で山中は前回の試合を「ジャブの感触は良かった」と振り返る。言葉通り1、2回はジャブで距離を取り、徐々にボディへの左ストレートにつなげるという決して悪くないボクシングをしていた。

 ところが圧力を強められて左を被弾し、下がったところで連打を浴び、そこから抜けられずに、セコンドがたまらずタオルを投入した─―というのが前回の敗戦だった。

 山中が回転の速いネリの連打を防ぐ術は、何と言っても足。まずはフットワークでネリの攻撃をかわすことだ。もう6年ほど前の話になるが、初防衛戦でネリと同じサウスポーのファイター、ビック・ダルチニアン(オーストラリア)に判定勝ちしたときのような試合運びが理想のように思える。

 これができれば、山中がネリにリベンジする可能性は大いに高まるだろう。足で最大限にリスクを回避し、ピンチに陥った場合は接近戦の練習の成果を生かして傷口を広げない。そうやって試合を運びながら徐々に左のタイミングを合わせ、最後に“神の左”を炸裂させる。そんなシナリオが現実味を帯びてくるのだ。

「ヤマナカはプレッシャーに弱い」

 問題は山中がそれを実行できるかどうかだろう。

 山中はスパーリング・パートナーであるWBCバンタム級12位のマイケル・ダスマリナス(フィリピン)とスパーリングをする際、打ち込まれると足が止まり、ガードの上から連打を浴びるシーンが目についた。

 クリーンヒットを許さなくとも、連打型の選手はガードの上からでもパンチを打ち込めると勢いがつく。たとえノックアウトにいたらずとも、こうしたシーンでジャッジの採点がどちらに流れるのかは言うまでもないだろう。

 ネリは2月22日の公開練習で「ヤマナカはプレッシャーに弱い。(第1戦)私がプレッシャーをかけたら何をしていいか分からないように見えた」と口にした。前に出て強打を振るっていけば必ずつぶせる、と考えているのだ。

【次ページ】 「ネリのことしか考えていなかった」

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