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田中将大はヤンキース先発の大黒柱。
調整も「マーさん」流を全面信頼。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byAFLO
posted2018/02/27 16:30
リラックスムードの田中将大。ラリー・ロスチャイルド投手コーチ(田中の左)との信頼関係もいたって良好だ。
「彼はライブBPが好きじゃないから(笑)」
この春、調整は順調そのものだ。入団以来コンビを組むラリー・ロスチャイルド投手コーチとはお互いを理解し、尊重し合うナイスな関係が続いている。これも田中が残してきた実績のなせる技である。
一般的に先発投手陣の調整はブルペン投球後、ライブBPと呼ばれるフリー打撃に登板することが多い。だが、田中は防御ネットを前にして投げるライブBPは行わず、ブルペンでの投げ込みを続けた。
ロスチャイルド投手コーチにその真意を問うと笑いながら答えた。
「彼は去年ライブBPで投げたかい? シミュレーテッドゲーム(防御ネットなしで打者に投げる実戦的練習)だったね。彼はライブBPが好きじゃないから(笑)」
些細なことだが、こんなところにもふたりの信頼関係は表れている。田中は「ありがたいこと。やりやすい」と喜んだが、すぐさま真顔で言った。
「ラリー(ロスチャイルド投手コーチ)の信頼を裏切る訳にはいかない。期待に応えなければいけないとは思っています」
実戦さながらの緊張感あるブルペン調整。
キャンプイン以来、田中はブルペンでの調整を4度続けた。
投球数は35、38、72と増やしてから15球へと減った。シミュレーテッドゲームに移行するための球数減であろう。それでも少ない球数の練習だからこそ、集中力を高め、試合並みの強度で投げた。
光ったのはその意識の高さ。
全球種を投げ込みながら、1球1球の球種とコースを変え、実戦さながらの緊張感を持って挑み、ボールは捕手の構えたところに収まった。アリゾナではエンゼルス・大谷翔平の打撃練習に度肝を抜かれたが、フロリダでは田中のブルペン投球に唸らされた。