フランス・フットボール通信BACK NUMBER
スキャンダルで地に落ちた元“皇帝”。
F・ベッケンバウアーの悲惨な現在。
text by
アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge
photograph byAlex Martin/L'Equiope
posted2018/02/27 07:30
世界的な名声を誇ったカイザーの伝説も、今や地に落ちた。ドイツ国内での人気はまったく消えてしまったという。
恐らく有罪……求刑は5年の実刑。
今や世界中で、ベッケンバウアーのイメージは損なわれつつある。
長い間、ベッケンバウアーは光り輝く天使のような存在だった。それが今では、自らの意思で罪を犯し、処罰されるのが当然の人物と見なされている。オリンピックスタジアムが完成したばかりの1970年代からバイエルンを見続けているある筋金入りのサポーターはこう語っている。
「フランツはもはや私たちのヒーローではない。ああした汚い出来事が露見した後では、彼を信頼する気持ちが失せてしまったよ」
ベッケンバウアー神話は崩壊した。
数カ月にわたるスイス司法当局の尋問は今も続いている。彼の心もとない証言――「契約にサインする前に、私はその内容を確認したことはこれまで一度としてない」――では、運命を覆すのは難しいだろう。
検察は彼に5年の実刑を求めている。