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「川崎さん、何で風呂桶だったの?」
開幕前にグッズの謎を聞いてきた。

posted2018/02/24 11:00

 
「川崎さん、何で風呂桶だったの?」開幕前にグッズの謎を聞いてきた。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

2017年Jリーグの大団円……そこで風呂桶を掲げた辺りがフロンターレイズムだ。

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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Asami Enomoto

 優勝チームは事業部も忙しくなる。

 昨シーズン、悲願のリーグ初制覇を果たした川崎フロンターレの事務所はクラブハウスから離れた川崎市高津区にある。

 2018年シーズンの年間チケットは開幕前に目標販売数を既に達成したため、販売を終了予定。後援会の会員数も昨年の数字を大幅に超え、川崎近郊や地方からも増えている。電話はジャンジャン、人はワンサカ。オフィスをせわしく人と会話が行き来するなか、事務所に「あの人」はいた。

 2017年12月2日、ホームで逆転優勝を遂げ、ピッチでは優勝セレモニーが行なわれていた。優勝シャーレは、首位鹿島アントラーズに用意されていたために試合会場の磐田からこれから運ばれるという。当然間に合わない。そのためシャーレが描かれたパネルが“代役”になった。

 しかしこれではせっかくの初優勝なのに、まったく味気ない。

若手スタッフに直撃取材してみた。

 と思っていたら、さりげなく選手に風呂桶を渡す人がいた。風呂桶は、フロンターレとゆかりが深い。川崎市内にある銭湯のPRを兼ね「いっしょにおフロんた~れ」というイベントを2010年に始めて以来、記念グッズなどでも風呂桶はよく登場していたからだ。そのためサポーターも、違和感なく受け入れている様子だった。

 中村憲剛も小林悠も風呂桶を掲げて、場は大盛り上がり。災い転じて福となった。後で風呂桶を見せてもらったら、桶の外底にシャーレがきちんと描かれていた。つまり元々、用意してあったのだ。

 さりげなくヒノキの風呂桶を選手に渡したあの人に取材を申し込んだ。「どうして僕に……」と恐縮しながら、1人の若手事業スタッフが近づいてくる。田村通朗さん。名刺には「チケット&グッズセールスグループ 商品化担当」と記されてあった。

【次ページ】 担当者に相談したら“やっちゃえ”。

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