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「川崎さん、何で風呂桶だったの?」
開幕前にグッズの謎を聞いてきた。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byAsami Enomoto

posted2018/02/24 11:00

「川崎さん、何で風呂桶だったの?」開幕前にグッズの謎を聞いてきた。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

2017年Jリーグの大団円……そこで風呂桶を掲げた辺りがフロンターレイズムだ。

担当者に相談したら“やっちゃえ”。

――開幕前のお忙しい時期にすみません。

「いやいや、大丈夫です。でも風呂桶の何を知りたいと?」

――ずっと引っ掛かっていたんです。シーズンが始まる前にスッキリと解決しておかないと、開幕をいい気分で迎えられなくて。

「は、はあ」

――シャーレが届かないことを想定して、シャーレのイラストを刻印した風呂桶を用意したのですか?

「いや、本当もう偶然でして。優勝記念グッズを用意していて、風呂桶もその1つです。午前にサンプルが5個できたので、事務所で試合を見つつ、もし優勝が決まりそうなら持っていこうかなとなったんです。別に掲げてもらおうとかそういう意図はなかったんです」

――確かに優勝Tシャツとか、優勝するといろいろと用意しなきゃいけないですもんね。じゃあ何故、風呂桶を渡す展開に?

「キャプテンの悠がパネルを掲げたときに、気づきました。“あれ、シャーレないの?”って。そこで風呂桶を掲げたら面白いんじゃないのかなと思って、運営の現場スタッフとJリーグの担当者に相談したら“やっちゃえ”と。

 普段はピッチに出ない仕事なんで、このときだけ、それも初タイトルを獲った真っ最中に足を踏み入れて、なんかもうフワフワした非日常の世界でした。みんな喜んでいるし、泣いているし……。そこで僕も勇気をもらって、選手に桶を渡すと悠も全力で挙げてくれました。選手のほうも“フロンターレだからアリでしょ”みたいな感じでした。“本当にやるの?”と僕のほうを二度見した選手もいましたけど(笑)」

――シャーレのイラスト入り風呂桶を優勝グッズにしようというのは、ずっと温めていた事業部のアイデアだったのでしょうか?

「いや、そうじゃないんです。実は急いで準備しなきゃいけないなかで、出てきたものでして……」

――と言いますと?

「フロンターレはなかなかタイトルを獲れなくて、それって僕たちスタッフも本気の本気で準備してないからじゃないかって思うようになったんです。YBCルヴァンカップ決勝は、それこそ独自の優勝グッズを完璧に準備したつもりだったんですが、勝てませんでした。その後、気持ちをなかなか切り替えられなくて……」

【次ページ】 3200個売れたのは、まったく想定外。

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