ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
小平智のドライバー探しは大変だ。
1g以下の違和感を消すための1本。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2018/02/25 07:00
宮里優作と賞金王を争うなど、小平智は着々と日本トップクラスまで上り詰めた。マスターズ出場も視野に入っている。
プロの中でも圧倒的に繊細なインパクト。
今、小平のドライバーショットのうまさは国内屈指だ。昨季ツアーのトータルドライビング部門で1位になった。これは平均飛距離とフェアウェイキープ率の順位を合算したもので、「飛んで曲がらない」ショットの指標だが、彼の場合は球を自在に操って確実なポジションをとらえ、かつ距離を稼ぐという表現が正しい。
その技術の高さは、「大好き!」と記したかつてのエースドライバーにも表れている。ヘッドのフェース面の中心から上に、直径約1cmの打球痕がある。さらに下の方にあるのは、ボールを打ち抜いた際にできるティペグの痕が細い線。男子のツアー選手が同じようにフェース面に作る打球痕は、直径2cm以上が一般的だというから、小平のインパクトのブレがいかに少ないかが分かる。
「練習でもフェースの同じところに当たるから、より割れやすいというのもある。それだけボールをコントロールできる選手だと僕も信じている。だから本人が信頼できるものを作らなければならない」と中村氏は言う。
マスターズにこのクラブを連れていく。
膨大な量の失敗から得る成功はわずかかもしれない。それでも、途中で投げ出すわけにはいかない。「(かつてのエースドライバーができたのも)奇跡なんですよ。でもそれも完ぺきではない。いつも『まだやれる』という姿勢で接するべきだと思う」
奇跡のマッチングも、単純な偶然の産物ではない。挑戦し続けた人々だけが手にするご褒美だ。
4年前、契約交渉の席で中村氏は小平本人と父・健一さんを目の前にして熱意を伝えた。「マスターズにプロギア・ブランドを連れて行ってほしい」――。
春の訪れとともに、その瞬間が近づいている。プロゴルファーが背負うのは、なにも身近な家族の思いだけではない。
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