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錦織圭、反撃のシーズンが始まる。
ツアー復帰戦の「悔しさ指数」は?
text by
吉谷剛Tsuyoshi Yoshitani
photograph byAP/AFLO
posted2018/02/21 11:30
手首の負傷から徐々に戦線復帰を果たしている錦織。ここからのテニスシーズンをにぎわせるはずだ。
ドンスコイ快勝後に自然と笑み。
それから半年。1月の北米でのチャレンジャー2大会をステップに、彼がツアーに戻って来た。舞台は昨年までメンフィス・オープンとして実施され、今年から開催地を東海岸に移したニューヨーク・オープン。
とは言っても、会場の「ナッソー・ベテランズ・メモリアル・コロシアム」は、マンハッタンから地下鉄と鉄道、タクシーを乗り継ぎ、片道約2時間弱ほどのロングアイランドの片田舎にある多目的アリーナ。昨年1億6500万ドル(約180億円)かけた改修工事を行い、リニューアルされた施設だった。
黒に統一されたインドア用のハードコートは球足が遅く、ビッグサーバー有利だったチャレンジャー2大会から環境は一変。もちろん錦織選手にとっては戦いやすく、試合を重ねるごとに好調時のコーナーを狙うショットやベースラインから下がらない速い攻撃が見られるようになった。
2回戦でエフゲニー・ドンスコイ(ロシア)に快勝した後には「確かに自分のいい時のプレーが出始めている。少しずつ良くなっているのを感じる」と、自然と笑みがこぼれた。
アンダーソン戦は格好の試金石。
準々決勝ではジョン・イズナー(米国)を破って勝ち上がってきたラドゥ・アルボット(モルドバ)に逆転勝ちし、自信の芽はさらに膨らむ。
全米オープン・ファイナリスト同士の対戦となった準決勝のケビン・アンダーソン(南アフリカ)戦は、現在地を知る上で格好の試金石だった。
結果は1-6、6-3、6-7で惜敗した。立て直した第2セットの反発力、先にブレークを許してはいけない第3セットのサービスゲームの集中力。タイブレークで一歩及ばなかったが、収穫の多い敗戦だった。