ROAD TO THE DERBY 2018BACK NUMBER

オウケンムーンはダービーを目指す。
父は菊花賞馬、鞍上は北村宏司。 

text by

平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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posted2018/02/21 07:30

オウケンムーンはダービーを目指す。父は菊花賞馬、鞍上は北村宏司。<Number Web> photograph by Photostud

共同通信杯を6番人気から勝利したオウケンムーン。北村宏司にとってもダービーは悔しい思いが募るレースだけに、期すものは大きいだろう。

手強い相手にも、厩舎は楽観ムード。

 そうして迎えた共同通信杯。後にGIホースとなるタイムフライヤーを破り2戦2勝のグレイルらが出走していたこともあり「手ごわい相手が揃った」と思ったそうだ。

 しかし、レース前に厩舎スタッフと話すうち、次のような意見で一致した。

「この馬は『まだ厳しいか?』と思えるハードルを次々と越えてきていました。こちらが考えている以上に走る面がある。追い切りで遅れた点やイレ込みなど心配がなかったわけではないけど、今までもそういう事を乗り越えて勝ってきたし、体調面はとにかく良かったので、意外とここでもやってくれるのでは、と考えることができました。それにオウケンブルースリ→ジャングルポケット→トニービンと遡る東京競馬場を得意とする血統も好材料に思えました」

 補足すると、トニービンはオークス、天皇賞・秋を制した名牝エアグルーヴの父としても知られ、特に産駒は左回りの東京コースで強さを発揮した。産駒のGI勝ちのほとんどは東京競馬場で挙げたものである。また、ジャングルポケットが勝ったダービー、ジャパンカップも東京競馬場で行われるGIレースである。

「まだまだ良くなる余地があります」

 そうして迎えた実戦。直線、外へ出す時にヨレかけたり、手前も上手に変えてはいなかったが、それでもゴール前で勝利を確信できる快勝ぶりを披露した。レース前の見解に誤りがなかったことをオウケンムーンが示してくれた。

「直線半ばでは先頭に立つのが早すぎるかと思い、加減して追いました。坂を上がる時には何とかなると思ったので、最後はキツい競馬にならないようにステッキを見せる程度にしました。道中ヨレかけた時は立てた下敷きを押すようにグニャッとなる感じで、まだまだ良くなる余地があります。それでいてこれだけ走ってくれるのだから楽しみです」

【次ページ】 ダービーの特別さに気づいた2000年の初騎乗。

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