松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹、棄権しても明日は来る。
ファウラー「ヒデキ、またやろうな」
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/02/05 17:30
ショット後すぐに左手をクラブから離す松山英樹。普段は痛みを表に出さないゴルファーだけに、相当な激痛が予想される。
松山もファウラーも、「またやろうな」と。
「ヒデキ、またやろうな」と2年前に声をかけたファウラーは2日目に首位へ浮上。そのまま優勝争いに絡むとしても、松山はもう居ないから「もうできない」状況になったが、ファウラーいわく、「この試合だけじゃない。僕とヒデキが優勝争いするチャンスは、まだまだたくさんある。時間はいっぱいある」と松山にエールを送ってくれた。
2日目の夜、松山専用の駐車スペースからは「2016/2017 Champion」の看板が外されていた。そして3日目からは搬入業者のトラックが停まっていた。
ファウラーは最終日を単独首位で迎えたが、大混戦の中、力尽きたかのように後退し、11位に甘んじた。そんなファウラーと入れ替わり、次々に他選手が浮上。優勝したのは3打差の8位から最終ラウンドをスタートしたゲーリー・ウッドランドだった。
米ツアーの流れは早い。どんどん入れ替わる椅子取りゲームのようで、時として激しい動きの中で自分を見失いそうになる。でも、だからこそ、急流に流されてしまわないよう、ときには足を踏ん張らなければ――。
踏ん張るときは前へは進めず、その場に居続けるのが精一杯。だが、踏ん張り通すことができれば、急流に流される木の葉のように翻弄されることはない。
苦しいときも、悔しいときも、なんとかして踏みとどまれば、再び、優勝争いができる。優勝もできる。
「We can do it again, right?(またやろうな)」
松山も、ファウラーも、そう信じて、明日を見つめているはずだ。