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中村航輔、JベストGKから代表へ。
「フィジカル、“have to”だなって」
posted2018/02/02 07:00
text by
小野晋太郎Shintaro Ono
photograph by
Yuki Suenaga
この時代に生まれたサッカー選手らしからず、全てのSNSの類をやっていない。
記者の質問にも深く答えることは少ない。誰かとつるんで無茶をするわけでもない。同世代の煌びやかなインスタグラムの投稿をしり目に、携帯を見つめて1人、将棋のアプリをやり続ける。
ストイックな変わり者。それが2017シーズン、Jリーグベストイレブンに選ばれた、柏レイソルの中村航輔だ。
そんな中村はオフを迎えると、真っ先に連絡をとる選手がいる。川崎フロンターレの大島僚太である。
所属クラブは異なるが、リオ五輪をともに戦い、時にA代表でも顔を合わせるようになった。中村と2つ上の無口な先輩は、以前からやけに馬が合う。今オフのこと、いつものように2人でいる際、ふとこんなことを言われた。
「ゴールキーパーのベストイレブンはさ、意味的にはベストワンだよね。日本で一番上手かったってことだから、責任があるよ」
いつも同じような会話で、何気なく大島が発した言葉だが、中村の頭の中では深く残っていた。
JリーグでベストGKであることの責任と覚悟。
サッカーにおいて明らかに他のポジションと異なるゴールキーパーは、他のポジションと違って、代わりが利かない。またポジション的にもベストイレブンに選ばれるのは、日本でたったの1人である。
「意味的には当たり前なんだけど、直接言葉で言われると、何かすごく頭に残ったんだよね。選ぶ人の基準があるのはわかってるし、日本で一番という言葉も、絶対にそれを鵜呑みにはしない。ただ、過去に取ってるのは確かにすごいし、ベストワンな人たちばっかりだから。自分がどうとかじゃなくて、もう1回その責任と覚悟みたいなものは、もっと深くというか、ちゃんと考えなきゃいけないのかなって」
中村が尊敬してやまない元日本代表・川口能活はもちろん、日本代表でその背中を追う川島永嗣もベストイレブンを獲得した。そして長らく日本の守護神として君臨してきた。ちなみに、中村の背番号は川口が好む23番。柏からレンタルでアビスパ福岡に移籍した時も、この番号を井原正巳監督が選んでくれた。