F1ピットストップBACK NUMBER
ホンダの再出発に求められること。
トロロッソと共に基本に忠実に……。
posted2018/01/28 08:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
AFLO
あと1カ月で、2018年のF1のエキゾーストノートがサーキットに轟き始める。
今年もF1は3月下旬にオーストラリアのメルボルンで開幕するが、それに先立ちプレシーズンテストが、スペインのバルセロナで2月26日からスタートするからだ。
そのテストに向けて、全チームが現在、新車を急ピッチで製作している。その中でも、慌ただしく作業を進めているのが、ホンダだろう。
ホンダは昨年までパートナーを組んでいたマクラーレンと契約を解消。'18年からはイタリアのプライベートチームであるトロロッソとタッグを組む。
マクラーレンとは比べものにはならない小規模チーム。
現在F1に参戦するチームの中で、フェラーリに次ぐ歴史を誇り、過去に何度もチャンピオンに輝いた経験を持つマクラーレンに比べると、トロロッソは'05年末に誕生したばかりの若いチーム。前身は'85年に創立されたミナルディというチームだ。
規模もまったく違う。約800名のスタッフを抱えるマクラーレンに対して、トロロッソは約400人。'18年にホンダが新たに組む相手は、すべてにおいてマクラーレンとは比べものにならないほど小さいチームなのだ。
これまでホンダは第2期F1活動の復帰直後に組んだスピリットを除けば、ウイリアムズ、ロータス、マクラーレンと、いずれもチャンピオンを獲得した経験がある名門チームと組んできたし、BAR(元ティレル)ともパートナーだった。仕事の進め方において、時には対立もあったかもしれないが、勝利を目指すという方向性は常に一致していた。
その点、今年からパートナーとなるトロロッソは、タイトルを獲得したこともなければ、優勝も'08年のイタリアGPの1度だけ。今年ホンダが頂点を目指すというのは現実的ではない。
だが、ホンダにとっては、いまこそ足元を見つめ直す良いチャンスではないだろうか。