プロ野球列島改造論BACK NUMBER
打倒巨人に燃え、阪神で革命を……。
ダンカンの極私的・星野仙一の記憶。
posted2018/01/28 07:00
text by
ダンカンDankan
photograph by
Hideki Sugiyama
“燃える男”星野仙一が本当に燃え尽きて天に昇っちまった。
あれはまだ星野さんが中日の監督時代の沖縄キャンプでの事。取材で中日のグラウンドを訪れていた俺を見つけるや否や「鳥かご(打撃練習用のゲージ)」の後方にいた星野さんがスタスタと3塁側ベンチ前に向かってきた。
「ようダンカン、阪神のスパイか?」
「アハハ、バレました?!」
「当たり前やろ! しかし、阪神相変わらず弱いなあ。よっしゃ、今日は2人で阪神復活を論じ合うか」
「えっ、練習中じゃないですか。だいたい星野さんはライバルチームの監督でしょう」
「アハハ、俺はユニフォーム着て見てるだけや。野球は島ちゃん(故島野育夫氏)に任せといたら大丈夫や」
「でも中日のキャンプで阪神の話って……」
「ええやないか! 大切なのは俺が大の阪神ファンってことや。しかし毎年毎年、なんやあのフロントのヘボ外国人選手の獲り方は! いいかダンカン、俺たちはグラウンドで試合をしてるんやぞ! 戦ってるんや!」
と熱く語った星野さん。
そこで一旦終わったかに見えたこの話。実は後に星野さんが阪神の縦ジマのユニフォームに袖を通した2002年の春季キャンプまで話が続いていたのだ。
「ペナントレースが終わったら、なんて呼ばれる?」
その春季キャンプでの話。
「だからな、俺たちはペナントレースというリーグ戦をグラウンドで必死に戦っているんだよ! で、ペナントレースが終わったら野球界はなんて呼ばれる?」
「シーズンオフですか?」
「アホ! 何とかリーグって言うやろ?」