プロ野球列島改造論BACK NUMBER
打倒巨人に燃え、阪神で革命を……。
ダンカンの極私的・星野仙一の記憶。
text by
ダンカンDankan
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/01/28 07:00
阪神タイガース時代、“鳥かご”裏での星野仙一監督。盟友・田淵幸一チーフ打撃コーチ、解説者などで活躍していた川藤幸三氏の姿も。
「東京ドームは巨人攻撃の時に空調の向き変えとるやろ」
「アハハ、熱狂的な阪神ファンのダンカンがそこまで言うなら上に報告しとかん訳にはいかんなあ~!」
と、その場で答えて下さった星野さん。そしてその後、下柳は阪神に移り9年間で80勝の大仕事をしてのけた。
もちろん俺の言葉で星野さんやフロントが動いたとは思わない。でもそんな気持ちに少しでもさせてくれたあの見事な対応こそ、まさに星野さんがいつも色紙に描いていた「夢」につながっている振る舞いなのだと思う。
そうかと思えば、
「おい、ダンカン。東京ドームは巨人の攻撃の時に外野に向かって空調の向き変えとるやろ?! お前調べといてくれや」
と良い歳して子供のように何回も俺に言っていたのも忘れられない。あの無邪気さ、そして根底にいつまでも横たわる打倒巨人魂もそこはかとなくたまらないのです。
野球はどんどん変わっていくけど……。
いかん! 実は今回は星野さんを通して「野球は本来エキサイティングなもの。時には乱闘があろうが、戦う者同士の熱い気持ちのぶつかり合いが不可欠。それが観客だけでなく選手の心も揺さぶるのに、最近の野球界はルールからして軟弱になっていないか?」を叫ぼうとしていたのに、気が付いたら星野仙一という男に酔ってしまった……。
星野さん、野球はどんどん変わっていくけど、俺はその熱き星野イズムをたとえ嫌われようがいつまでも語っていきますから。
クソ~悲し過ぎるじゃねーかよ……合掌!!