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36歳から東京五輪目指し全日本準優勝。
格闘家・菊野克紀、テコンドーの夢。
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byt.SAKUMA
posted2018/01/26 07:00
身長で実に27cm差! 決勝戦は大差での敗北となったが、新人選手としては驚異的な成績となった菊野。
最初に憧れたのは“平成の三四郎”古賀稔彦。
昨年施行されたルール改正もテコンドー挑戦を後押しした。
以前よりボディへのパンチのポイントをとる傾向が強くなったことに加え、攻撃を伴っていれば相手を押してもいいというルールは味方になると思ったのだ。
「これはチャンスだ」
中学時代、菊野は鹿児島の片田舎で柔道に熱中した。憧れは“平成の三四郎”古賀稔彦だったので、古賀の得意技である一本背負いを一生懸命稽古して自らの得意技にした。
だからといって、オリンピックまで目指そうとはほとんど思わなかったという。
「自分はそういうレベルではなかったし、古賀さんはあくまでテレビの中でのヒーローだった」
それから菊野は極真空手に身を投じ、MMA(総合格闘技)ファイターに転身し現在に至るのだが、極真空手以降のキャリアにはひとつだけ共通項がある。
全て非オリンピック競技であるということだ。
同じ努力をしても、五輪だとその注目度が全然違う。
自分の道を邁進しながら、4年に一度のオリンピックの時期になると、菊野はいつもうらやましく思った。
「やっぱり世界中が注目し、日の丸(日本)が応援してくれる大会じゃないですか。努力の量は僕らも変わらないはずなのに、世間に対する響き方は全然違う」
菊野のようなプロ格闘家がオリンピックに挑戦するというケースは前例もある。
'07年1月には当時MMAファイターとして人気絶頂だった山本“KID”徳郁が北京オリンピック出場を目指してレスリングの全日本選手権に出場したが、2回戦で敗退している。