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36歳から東京五輪目指し全日本準優勝。
格闘家・菊野克紀、テコンドーの夢。
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byt.SAKUMA
posted2018/01/26 07:00
身長で実に27cm差! 決勝戦は大差での敗北となったが、新人選手としては驚異的な成績となった菊野。
地方大会から這い上がって、ついに全日本選手権へ。
それでも、菊野は言う。
「格闘技のトップ選手の心技体は、オリンピック選手にも負けていない」
昨年10月29日に行われた全日本テコンドー選手権・東日本地区大会で菊野はテコンドーデビュー。1回戦から苦戦の連続だったが、菊野はしぶとく勝ち上がり、見事優勝した。
その反響は大きく、地上波テレビ局からの取材を初めて受けることにもなった。自分の子供が通う幼稚園の父兄にも、初めて興味を持ってもらえたという。
「UFCで勝っても世間には響かなかったんですけどね。やっぱりオリンピックは全然違う。魔法の言葉みたい」
今年になってからも菊野は突っ走る。
1月3日にはホームである『巌流島』で小見川道大との“空手vs.柔道”ともいうべき異種格闘技戦を実現させ、1R57秒左フックからのグラウンドパンチで小見川をKO。雪辱に燃える小見川を返り討ちにした。
続いて1月21日には、全日本テコンドー協会(AJTA)か主催する『全日本テコンドー選手権大会』-80kg級に出場した。
ポイント勝負では勝ち目がない。最初から倒しにいく!
テコンドーの特性は蹴り技が主体で、時には何発も連続して華麗な蹴りが繰り出されること。勝負はポイント制で争われるが、菊野の試合だけは違っていた。
ポイント勝負では勝ち目はないので、最初から倒しにいく。しかも、攻撃の大半は他の選手と違ってボディへのパンチだ。東日本選手権の時もそうだったが、全日本選手権でも菊野は異端の存在だった。
準決勝では得意のボディパンチを封じられ苦戦を強いられたが、試合終了間際に逆転に成功して、ついに決勝にまで進出した。