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大坂なおみの快進撃は'18年も続く。
「ベイビー・セリーナは光栄よ」
posted2018/01/17 08:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Hiromasa Mano
19歳で迎えた2017年、全米オープン1回戦では前年覇者の
ケルバーを破り、ポテンシャルの高さを改めて証明。
充実のシーズンから得たものと、2018年への課題を語った。
Number937号(2017年10月12日発売)から全文転載します!
ケルバーを破り、ポテンシャルの高さを改めて証明。
充実のシーズンから得たものと、2018年への課題を語った。
Number937号(2017年10月12日発売)から全文転載します!
後世になって振り返ったとき、2017年こそ、大坂なおみの快進撃が始まったと評価される1年になるのではないだろうか。
全米オープンの1回戦、メインコートのアーサー・アッシュ・スタジアムを舞台に、大坂は世界を驚かせた。前年優勝の第6シード、アンジェリーク・ケルバー(ドイツ)を6-3、6-1のストレートで下したのである。
大坂にとっては、ランキングトップ10の選手に対し、10回目の挑戦での初勝利。格上の相手に勝つというミッションにプレッシャーを感じながらも、彼女は重い扉を自らの手でこじ開けた。
「去年みたいなことには絶対にしない、って」
「実は、'16年の全米オープン3回戦でも、コートもまったく同じアーサー・アッシュ・スタジアムで、アメリカのマディソン・キーズと対戦したんです。試合はファイナルセットにもつれこんで、私が5-1でリードしていた。そこから、逆転されてしまって……。たしかにケルバー戦でも、第2セットで4-1とリードしたところで、去年と同じような心理状態になりかけたけれど、自分が出来ることに集中して、去年みたいなことには絶対にしないって、言い聞かせたんです」
18歳のときの苦い経験が生きたのである。結果的に全米オープンでは、3回戦でカイア・カネピ(エストニア)にフルセットの末に敗れたものの、'18年に向けて大きな試金石になったことは間違いない。
しかし、一朝一夕にトップ10の選手に勝てるようになるわけではない。実は全米オープンの前、大坂にはブレイクスルーを感じさせる試合があった。