世界1位プリスコバとの接戦で学んだ多くのこと。

　8月10日、カナダのトロントで行われたロジャーズ・カップの3回戦で、大坂は当時世界ランキング1位のカロリーナ・プリスコバ（チェコ）と対戦、2－6、7－6（4）と1セットオールとした後、第3セットの第1ゲームが終わったところで、腹筋の痛みがひどくなり、やむなく棄権した。

　第2セットで追いつき、流れをつかみかけていただけに残念な結果ではあったが、大坂はこの試合でランキング・ナンバーワンの選手と対戦することで多くを学んだという。

「プリスコバとの試合を“ブレイクスルー”とまでは言い切れないと思います。最終的には勝てなかったので。ただ、私としては、プリスコバの空気感に触れられて、ものすごく経験値を高められた試合だったんです」

　彼女にとって財産になったのは、息詰まる展開のなかで見たプリスコバの佇まいだった。

「お互い、とてもハードにプレーしていた。私は心理的にも集中できていたとは思います。でも、プリスコバは試合中ずっと冷静で、それがすごく印象的で。どんな展開になっても、トップまで上りつめる選手は落ち着いているんだな、と分かったんです」

“揺れる”感情をコントロール出来るように。

　大坂は自分自身の弱点として、心理面での未熟さを痛感していた時期だった。

「試合中、感情が“揺れる”ことをコントロール出来たらと思ってます。今までもそれが課題だったし、'18年はその課題にしっかりと向き合っていきたい。試合中、私は自分に厳しすぎることがあるんです。ミスをした時に視線を落としてしまったり、表情が悲しく見えてしまうことが多くて」

　テニスは、スポーツの中でもメンタルトレーニングがいち早く発達した競技だ。ポイント間の気持ちの「切り替え力」は、プロ選手にとって重要な資質であり、それを身につければ大きな武器になる。

　大坂のコーチであるオーストラリア出身のデビッド・テイラーは、心理面のアドバイスを常日頃から強調しているという。

「コーチからは、いつもいつも『なおみ、物事をポジティブに捉えるんだ。ポジティブに』とアドバイスをされてます」

　まだ19歳。内面が充実していく過程にあるが、成熟へのプロセスはそのままトップ10への道へとつながるだろう。

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