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ガンバ、クルピ就任を巡る全真相。
長谷川体制終焉を決めたあの試合。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byGetty Images
posted2018/01/03 11:30
日本だけでなくブラジルでも評価が高いクルピ氏。その手腕を再び、Jリーグの舞台で見せる。
セレーゾだけでなくリオ五輪金メダル監督にも接触。
トニーニョ・セレーゾ氏やクルピ氏と言ったJリーグ経験者だけでなく、コリンチャンスを今季ブラジル全国選手権優勝に導くことになる新進気鋭の43歳、ファビオ・カリーレ氏やネルシーニョ氏の実子であるエドゥアルド・バチスタ氏(ポンチプレッタ)、更にはリオデジャネイロ五輪でブラジルを金メダルに導いたロジェーリオ・ミカレ氏(当時アトレチコ・ミネイロ)という豪華な選択肢だった。
ただし、浪人状態にあるセレーゾ氏の手腕はあまりにも不透明な上に、カリーレ氏がコリンチャンスで見せたのは「強化版長谷川サッカー」とでもいうべき、リアクションスタイル。そして、国外の指導経験を持たないバチスタ氏やミカレ氏も、あまりにもリスキーな選択肢である。
「攻撃的なサッカーをするし、若手の起用法にも長けている。最初から自分の中ではクルピを最優先に考えていた」と当初から梶居強化部長が白羽の矢を立てていたのはクルピ氏だった。
「ガンバの選手を率いることに興味がある」
当時率いていたサントスでは、タレント不足もあって堅守速攻の現実的なスタイルを志向していた名将だが、ブラジル国内では「攻撃的なサッカーを志向する」という肩書きが一般的だ。攻撃サッカーの再構築と、若手の育成などガンバ大阪が目指すコンセプトに当初から興味を示した名伯楽も「ガンバの選手を率いることに興味がある」と前向きだったという。
その後、10月末にサントスの監督を解任されるクルピ氏ではあるが、契約は当初から2017年末限り。解任の有無にかかわらず、ガンバ大阪を率いることは決定的だった。
そして12月3日、ガンバは降格した2012年以来となる2桁順位の10位でリーグ戦を終了したタイミングで、クルピ氏の監督就任を発表した。すでに今季の全試合を分析にかかっているというブラジル人指揮官だが、活かすも殺すもクラブのバックアップ次第である。