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ガンバ、クルピ就任を巡る全真相。
長谷川体制終焉を決めたあの試合。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byGetty Images
posted2018/01/03 11:30
日本だけでなくブラジルでも評価が高いクルピ氏。その手腕を再び、Jリーグの舞台で見せる。
甲府相手の0-1で“長谷川切り”へ傾いた。
ターニングポイントとなったのは0-1で敗れた8月5日の甲府戦である。
残留争いの渦中にある甲府のブロックを崩しきれず、個の打開力を持つ泉澤仁もベンチ外。「新たな戦力を長谷川監督に与えて、今季のサッカーがどうなるかを見て来た」強化のトップは「長谷川切り」へと一気に傾いていく。
1月の新体制会見で「クラブが動いてくれている」と長谷川監督が懇願した外国人ストライカーの獲得は、結局7月にずれ込み、梶居強化部長が白羽の矢を立てたファン・ウィジョまで待つことになった。
また当初はシーズン途中に移籍させる方針ではなかった堂安律がフローニンゲンに期限付き移籍するなど、エクスキューズはあった。ただ甲府戦の内容に、長谷川体制が限界を迎えていたのもまた、事実だった。
ジョルジーニョ、オリヴェイラ、洪明甫らが売り込み。
長谷川監督の退任が発表された翌日、番記者たちの囲み取材に応じた梶居強化部長はこう話した。
「長谷川監督が残してくれた以上の結果を残さないといけないし、後任選びは難しいし、本当に大変」
ただ当時から梶居強化部長の脳裏にあったのは、不倶戴天のライバルをかつて率いたブラジル人指揮官の名前だった。
「急ぐ必要もないし、じっくりと選びたい」
こう番記者たちを煙に巻きながら、9月中旬、ブラジルに渡って面談したのは5人の監督たちだ。かつて鹿島を率いたジョルジーニョ氏やオズワルド・オリヴェイラ氏、元韓国代表監督の洪明甫氏からも売込みがあったというが、梶居強化部長がブラジルで実際に会ったのは5人だった。